研究外し　横歩取り４五角戦法　対策

横歩取り４五角戦法　２八歩手抜き攻撃

横歩取りを先手番で指す場合、避けては通れないのが４五角戦法です。
この戦法は奇襲戦法に分類されることもある戦法で、後手が一瞬でよくなる変化が様々ところに潜んでいます。
また、プロの将棋にも表れたこともある戦法で、単なるハメ手の奇襲というわけではありません。
現在では先手よしの結論がでていて、プロではみかけることはありませんが、
時間の制約のあるアマ将棋やネット将棋では十分な破壊力を持つ戦法となっています。
今回はそんな横歩取り４五角戦法への研究外し調の対策を紹介します。
ページの最後に動画も用意してるので、棋譜や符号ではわかりにくい場合は、そちらもご覧ください。

初手から
▲７六歩    △３四歩    ▲２六歩    △８四歩    ▲２五歩    △８五歩
▲７八金    △３二金    ▲２四歩    △同　歩    ▲同　飛    △８六歩
▲同　歩    △同　飛    ▲３四飛    △８八角成  ▲同　銀    △２八歩


一般的な４五角戦法の定跡ではここで同銀とします。しかし、この対策ではここを手抜いて７七角と打っていきます。
ちなみにこの対策は単なる奇策というわけではなく、定跡書にもでている裏定跡的な有力な手です。

４五角戦法は一般的には先手よしの結論がでていることから、それでもこの戦法を使う人というのは
かなり研究している場合や慣れているといったことが考えられます。
その狙いを外すと同時にこちらの土俵に引きずり込むのがこの裏定跡的な手の狙いになります。

この局面から大きく分けて３つの変化があります。
１　７六飛
この変化は後手の最善手です。場合によっては手の広い将棋にすることで一局の将棋になります。ただし先手は不満がないです。

２　８八飛成
この変化は４五角戦法の定跡と近い流れになりますが、先手が逆に一気に勝勢になる変化も随所にあります。

３　２九歩成
これは後手が飛車を捨てて二枚替えを狙う変化です。あまりにも序盤であるため、二枚替えしても先手が有利になります。

では１の変化から見てみましょう
▲７七角    △７六飛    ▲２八銀    △２七歩    ▲３九銀    △２六飛　▲３八金    
と進みますここで△２八角とされた場合は以下の変化で先手が優勢です。
途中の王手飛車が重要です。
△２八角    ▲同　銀    △同歩成    ▲１五角    △３三歩
▲２六角    △３四歩    ▲２八金    △３九飛    ▲４九飛    △同飛成
▲同　玉    △６九飛    ▲４八玉    △３九銀    ▲５八玉    △８九飛成
▲７九金    △同　龍    ▲同　銀    △２八銀成  ▲１一角成

この上記の３八金の局面で後手はいくつか手が考えられます。３三の地点の受け方次第で展開が変わってきますが
△３三桂    ▲同角成    △同　金    ▲同飛成    △４二角    ▲４三龍
△６二玉    ▲４四桂　等が一例で先手優勢です。
他には
△３三歩    ▲８四飛   が一例で先手悪くありません。
以下手が広いのですが
△７二銀 に▲８三歩などがあり先手指せる展開だと思います。

次に２の８八飛成です。
この変化はすでに先手がかなり得をしています。
これには１一角成を受けるか２九歩成と踏み込むかの選択があります。
まずは１一角成を受ける手ですが、ここで桂馬で受けると２八の歩をとられてしまい後手は失敗です。
よって、３三銀が有力です。

これにも構わず、角を切っていきます。
ここで同金なら同飛成でさらに切っていき、２一飛打の先手で先手がやれます。
同桂の場合は飛車を切るのはまずいので２八銀と歩を払っておきます。
ここで
 △２五角なら▲２四飛 △４七角成 ▲２一飛成 △４五桂
▲２三銀 △５七桂成 ▲３二銀成
と進めて先手勝てます。ほかの手にしても有効な手は難しいと思います。

では今度は１一角成を受けずに２九歩成と踏み込んできた場合を見ましょう。

これには▲１一角成から以下のようになります。
△２九歩成  ▲１一角成  △３九と    ▲同　金    △２五角    ▲３二飛成
△同　銀    ▲５五飛
この△２五角の局面でまさかの▲３二飛成が絶品です。
定跡書にもでていない変化でこの手を見たときには衝撃を受けました。
また、この局面を最初に調べた当時の最強ソフト真やねうら王でも初見では見つけられなかったのを覚えています。
注（ソフトは設定やPCスペックによって結果が違うので検証すると違う結果がでるかもしれません）

以下この局面ははっきり先手大優勢～勝勢です。

最後は７七角と打った局面での３つ目の手
３　２九歩成　です。
これは当然、８六角と飛車をとっていきます。
そして、二枚替えの変化になります。以下の進行が妥当だと思います。

△２九歩成  ▲８六角    △３九と    ▲同　金    △５二玉
▲８四飛    △８二歩    ▲２四飛    △２二銀    ▲２九飛

この最後の局面では後手は手を作るのが難しくなっています。
これも先手がよい形勢だと思います。

これが横歩取り４五角戦法への２八歩の手抜き対策です。
２八歩に同銀としても一方的に攻められてなんか不満だなぁと思っていた人や
相手の慣れを外したい人は試してみてください。
手抜いた瞬間相手の手が止まったりとなかなか面白いと思います。

最後に簡単なまとめ

▲７六歩    △３四歩    ▲２六歩    △８四歩    ▲２五歩    △８五歩
▲７八金    △３二金    ▲２四歩    △同　歩    ▲同　飛    △８六歩
▲同　歩    △同　飛    ▲３四飛    △８八角成  ▲同　銀    △２八歩
▲７七角 　（ここから主に３つに分岐）


１　７六飛・・・　後手最善手ですぐには悪くならないが、先手としては不満なし
２　８八飛成・・・先手が簡単によくなる変化が随所にあり、そうでなくても有利に指せる
３　２九歩成・・・後手が手を作るのが難しくなる

この対策の動画です。棋譜だけではわかりにくい方はこちらもどうぞ。