コンピューター将棋の影響で大きな世界が広がった序盤。そんな中で、従来の定跡とは異なった指し方や研究が生まれてます。
この中で個人的にネット将棋において遭遇する後手角換わり棒銀に対する新しい対策を何度かに分けて紹介します。
角換わり棒銀とは?
さて、その前に角換わり棒銀という戦法について簡単に解説します。
この角換わり棒銀戦法はプロ間ではあまり見かけることはない戦法ですが、戦法として欠陥があるというわけではなく、
しばしば指されていた戦法です。
あまり、指されない理由は角換わり腰掛銀のほうがより優秀とみられているためでといえるでしょう。
しかし、インターネット将棋ではこれを得意戦法にする人も多く、それなりに遭遇する戦法です。
もちろん、この戦法には従来より、定跡がある程度整備されているので、その対策もでていました。
ただ、定跡通り進めてもやや良しといった程度で手のわかりやすい棒銀に対して、そこから先に苦戦するアマが多いのではないかと思います。
私もそんな一人でこの戦法を相手にするとかなり棋力が下と思われる相手に何度も一方的にやられた経験があります。
無理筋とされる手を通されたことも多く、その理由はやはり、手のわかりやすさが大きかったように思えます。
そこで今回紹介するのが新・角換わり棒銀対策です。
なぜ先手でなく後手棒銀対策なのか?
対策の前になぜ後手棒銀対策なのかという点について説明します。
先手が角換わり棒銀を選択した場合、後手はその動きをみて相性のいい早繰銀という戦法をとることができます。
この対策は優秀で、後出しじゃんけんのように後手としては不満のない序盤に持ち込むことができます。
もちろん、平手将棋である以上それで勝てるというわけではないのですが、後手としてはそれなりに満足できる将棋に持ち込めます。一方、自分が先手の場合は相手が棒銀に来ることを確認してから早繰銀にすることは難しく、この作戦は使えないのです。
新・後手棒銀対策
さて、前置きが長くなりましたが研究した後手棒銀の対策を紹介します。
この駒組は対棒銀だけでなく、腰掛銀でも隙があれば桂馬による速攻をみた駒組で、後手が正しい駒組をしなかった場合にはそれを咎める順を見ています。
初手より
▲7六歩 △8四歩 ▲2六歩 △8五歩 ▲7七角 △3二金
▲2五歩 △3四歩 ▲6八銀 △7七角成 ▲同 銀 △2二銀
▲4八銀 △3三銀 ▲3六歩 △7二銀 ▲4六歩
強襲4五桂馬
この局面は一つのポイントで
△8三銀、▲3七桂△8四銀
と進んで△4二玉を入れなかったときに4五桂からの強襲が成立します。
▲4五桂 △4四銀 ▲2四歩 △同 歩
▲同 飛 △2三歩 ▲3四飛 △2五角 ▲4四飛 △同 歩
▲5三桂成 △3六角 ▲6五角
これは後手の2九への飛車打を防ぐと同時に3二角成から4三銀が厳しく、それを防ぐ金上がりには8三銀から飛車を取りに行く手もありはっきり先手優勢です。
▲3四飛に対して、△3三桂の場合は
△3三桂 ▲4四飛 △同 歩 ▲5三桂成から6五角が狙いになります。また、
▲3四飛に対して、△4二玉の場合は
▲3四飛 △4二玉 ▲2二歩 △3三桂
▲2一歩成 △2五角 ▲3三桂成 △同 金 ▲同飛成 △同 銀
▲1一と △2九飛 ▲8三香 △3六角 ▲3八角
といった感じの進行が予想され、先手が良いです。
桂馬をはねたときに4四銀の場合は変化がいろいろありますが、先手の攻めが成立しています。
コツをつかめばかなり勝ちやすくなると思います。
続いて、▲4五桂の強襲に4二銀と引いた場合にも攻めが成立します。
△4二銀 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲3四飛
△3三桂 ▲6六角 △4四角 ▲同 飛 △同 歩 ▲同 角
△4五桂 ▲1一角成 △5七桂成 ▲同 銀 △6五桂 ▲6六馬
この▲6六角がポイントで8四飛の狙いがあるため2二角といった受けはまずく、4四角と受けるしかありません。
以下、飛車を切って行って先手優勢です。
そのまま少し進むと後手に2九飛と打つチャンスが来ると思いますが、それには6五角が狙いになります。
以上が強襲4五桂馬の戦いになります。この筋は後手が△4二玉と入れていないのが原因で先手がかなり良くなる筋といえます。
続編では後手が△4二玉といれて端棒銀に来たときの対策を紹介します。(新・角換わり棒銀対策続編)
この端棒銀の筋はおそらくネット将棋では高段者になるまではよく遭遇する筋だと思います。
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