将棋ソフト活用法 序盤研究編

(更新2022)

将棋ソフト活用法序盤編

近年、AIとされる将棋ソフトの影響でプロの将棋の世界はもちろん、アマの世界でも多くの新しい指し方があらわています。このソフトの応用の仕方について紹介します。
まず、将棋ソフトの強さについて説明すると2022年時点で有名なソフトは間違いなくトッププロを超えています。
2016年公開の技巧、その発展形でてある技巧2、他、2017年の世界コンピューター将棋選手権優勝ソフトのelmoなどが代表的なものとなっています。
さらに2018年以降はNNUEという新しい系統のソフトが登場し更に強くなっています。
これに加えて、ディープラーニングの手法を使ったdlshogiというのも現れています。
これらの超強豪ソフトを活用し、序盤研究をしたら簡単に有利になれるのではないか?という疑問に関して考察したいと思います。

将棋ソフトの序盤は真似するべきか

まず、強すぎる将棋ソフトに関して最初に浮かぶ一つの疑問があります。
将棋の序盤は手が限られているし、簡単に真似することができるためソフトを使えば簡単に有利になるのか?

まず、この答えに関してはNOです。

なぜなら、将棋ソフトは確かに非常に強く、人間の理解を超えているのは間違いありません。しかし、30手先まで読んだところでその利点はあるかないかといった程度である場合が多いのです。また、ソフトが示す最善手や次善手より有力な筋がある場合も序盤においては実際は多かったりします。これは使ってみて自分で動かしてみるとよくわかります。
さらに加えると、同じ局面になることは序盤といえども滅多になく、さらにソフトの最善とする手から外れたからといってそれが悪いわけでもない場合も多くあります。
となれば、なおさらソフトの序盤をそのまま真似することに意味はないといえます。

効果的な活用法

では、どのように活用すればいいのか考えてみましょう?

答えは自分のわかっている形や使う戦法をメインに進めるといったのが良いです。
このときソフトの評価値がマイナスになる場合も多々あると思いますが、100や200のマイナスであれば気にしなくてもいいです。
上記の理由によってそもそもその評価があてになるかどうか結論がでていないからです。

あとは自分の気になる手を検討モードで試して大きく不利になる順がないか確認していきます。
こうしたソフトの活用法をしているといきなり自分が有利になる手順や不利になる手順がその中で出てくるはずなので、これを自分の中に取り入れていけば序盤でリードを奪えたり、
不満な展開に持ち込まれることは少なくなっていきます。
ソフトの真似を先に置くのではなく、自分の将棋の序盤を先においてそこにソフトを足していくのが良いと思います。

追加
これを最初に書いてから数年が経過しましたが、ソフトを使った序盤研究での考え方に基本的な違いはありません。
ただ少し変わってきた部分があるのでそれについては例外的に紹介したいと思います。
ここ数年での変化してきたソフトにディープラーニングの手法を用いたソフトがあります。
このソフトはこれまでの主流となっているものと異なり、評価値の幅を大きく見積もっている感じがあります。
例えば2022年最強ソフトの一角であるSQMZが300くらいプラスと評価している局面でその倍以上に読んでいたりする場合があります。
序盤が特に強いと見られているのがこのディープラーニングを用いたソフトの特徴で、序盤の評価に関しては優れているのかもしれません。
このディープラーニング系のソフトは現時点で使えるものはdlshogiだけですが、従来のソフトが序盤で千日手を読む部分(特に角換わり腰掛銀の新型同型に多い)
で打開する手順を読みます。この形だけは有段者になると同じ形も出現しやすいですし、打開の方法を研究してみるのも面白いと思います。

 

では簡単にまとめてみます

① 自分の将棋の序盤をメインに置きソフトはその補助とする

② ソフトの序盤は現実的に真似するメリットがないし、たとえしても大して意味はない

③ 自分の補助として序盤を強化するのは現実的に非常に有効