将棋強化プログラム 実戦

これまで、将棋が強くなるとはどういうことか

そして、その仕組みはどのようなものであるのかをいくつもの研究から考察してきました。そこで、伸び悩んでいる人向けに具体的な訓練方法を示してみます。

期間は1から2か月程度なので、何年も上達が止まっている人や有段者への道が全く見えない人はこの期間だけだまされたと思って試してみてください。

1 ファーストステップ 棋譜並べ 目安 15分~30

では具体的な手法に入りますが、その前に1日、対局時間も含めて1時間程度将棋に時間を費やすことができるのがその条件です。

最初のステップは棋譜並べです。この棋譜並べは将棋をどう指せば勝ちやすくなるのかというお手本をみて、体にしみこませるのが目的です。用意する棋譜は自分より強い人で自分と同じ戦法を使う人の棋譜です。もう少し、具体的には級位者であれば2段くらいの人、初段であれば3段くらいの人といった感じで1,2ランク上の人の棋譜が望ましいと思います。これはほどよく自分より強い人の棋譜であれば手の意味がわかるからで、自分ならばどう指すのか、自分とはどう違うのかといった点がわかりやすいのがその理由です。もちろん、プロの棋譜でもよいのですが、その場合は手の意味が分かるように解説付きのものにするのがいいと思います。

棋譜が準備できたら、コンピューターでもいいし、実際の盤でもいいので1日1局並べてみましょう。同じ戦法を使っているのに自分とどう違うのか、どのように攻めを組み立てているのか考えながら駒を動かしていきます。

必ず、この考えながらということをやりましょう。これをやらないと効果は激減してしまいます。

2 セカンドステップ 対局と修正 目安 30~60分

次に行うのは対局です。この目的は強くなるために絶対必要な3つのFを行います。1局指して、感想戦を行い相手のいっていることを吸収します。感想戦ができない場合は自分で将棋ソフトを使って棋譜解析と検討を行います。具体的には自分が迷ったところや致命的なミス、勝ち筋を見逃したところを探して、どうすればよかったのかソフトに聞いてみましょう。

このステップで最も重要なのが指すことよりもその後に行う、ソフト検討や感想戦であり、むしろこのために対局をすると言ってもいいくらいです。この作業はこの強化プログラムで最も重要な部分なので必ずやってください。

3 サードステップ 反省と改善 目安 5分~10分

最後に2の結果わかったことを軽くメモしておきます。例えば、詰まないのに王手をして、敵玉を逃がして逆転負けした等です。要するに対局を反省して頭の中で振り返り、次回はこの反省を活かして、詰まない時には王手をしないで玉を包囲しようと意識するようにするといった具合です。この際、何度も同じミスをするかもしれませんが、メモを見ながら意識していくとだんだんと減ってくるので、すぐに改善できなくても落ち込まずにしっかり続けるのがよいでしょう。そもそも1度や2度で修正するのは普通の人間には不可能です。何度も失敗しながら成長していきましょう。

これが1日の具体的なトレーニング方法です。毎日は難しいかもしれませんが基本的にこの方法で1か月~2か月続けてみましょう。どうしても時間が取れない場合の優先度はステップ2>ステップ1です。こうして1か月ほど続けているといままでとは違う感覚が身についているのがわかると思います。体調やメンタル的な部分も大きいし、相手もいるのですぐにレートがあがるとは限りませんが、確実に棋力の底上げはできているはずです。何年も止まっていた棋力が上がってくるはずなのでより将棋が面白くなると思います。