古来より、効果があるといわれる棋譜並べはよりよい勝利眼を獲得するという意味で非常に優れた方法です。
検討や感想戦が自分自身の勝利眼を少しづつ軌道修正するのに対して、これは修正する先にあるお手本を先にみてみる方法です。
ただし、この棋譜並べに関しては多少注意する点があります。
① お手本となる棋譜のうちどれをお手本にしたらよいかという問題。
② お手本が今の自分と違い過ぎて意味が分からない場合があるという問題。
そのため、棋譜並べをする場合は解説付きの棋譜や自分が指す戦法である程度理解できるものがいいと思います。
これらの条件でやってみると意外と自分に合うお手本の棋譜をみつけるのは難しいのがわかると思います。
簡単な棋譜の選び方と棋譜並べを行う際に心がけるとよいポイントを紹介します。
棋譜の選び方
棋譜並べの棋譜は自分が指す戦法の棋譜が断然お勧めです。例えば、居飛車急戦派の人が居飛車穴熊の棋譜を並べても実際に指さない戦法なので効率が悪いのです。また、下記の具体的やり方にも関係しますが、解説付きのもののほうがよいと思います。また、自分が指す戦法側が勝っている棋譜がおすすめです。優勢になってからの勝ち方へのつなぎ方が学べるのでできれば勝局譜のほうがいいでしょう。他には解説がなくても同じ戦法を使うのであれば自分よりはっきり強い人の棋譜でもよいでしょう。具体的には仮に対局した場合5回~10回に1回くらい勝てる相手です。このメリットはプロの棋譜とは違って、5~10回に1回勝てる相手なので解説がなくとも自分で手の意味を理解できるからです。現在の自分よりは強いのでそこで自分との違いを学ぶことができます。
このような観点から棋譜並べの棋譜を探すとよいと思います。なかなか棋譜選びは難しいところがありますが、棋譜並べは非常に効果の高い方法です。
具体的やり方
自分に合う棋譜はなかなか見つけるのが大変ですが、見つけたらさっそく棋譜並べを始めましょう。やり方について単に並べるのではなくて駒がぶつかり始める中盤以降は1手1手意味を考えながら行っていきます。序盤は定跡書で学べますが中盤はそうはいきません。中盤以降は次の1手問題のように取り組むとよいでしょう。すべての手に解説があるわけではないので、わからない部分もあるとおもいますができるだけ、自分で意味を理解しながら進めていきます。わからなければとりあえず、進める感じでいいと思います。その時はわからなくても、次の1手問題のように考える努力をすることが大事です。そのときわからなくても、感覚として身についているものが必ずあります。同じ棋譜を最低3回は並べるのがおすすめです。
そして実際にやってみるとわかると思うのですが、1度中盤以降を次の1手問題のように真剣に考えながらやっても二度目に棋譜をみないで再現してみようとするとほとんど理解できていないのがわかると思います。手順前後だったり、中盤以降の組み立て方がわかなくなって、次の指し手がわからないというのはしょっちゅう起こります。これは普通のことなので、少しでも自分に吸収するためには最低3回、気に入っているものであれば暗記してしまうくらいやってもいいかもしれません。
自分の上達に適した棋譜はなかなか見つからないので見つけたらとことん利用しましょう。
違う戦法の棋譜
上達を考える上の棋譜並べは自分の戦法や指し方に似ている棋譜が優れていると書きましたが、その他の棋譜でも当然、高い効果はあります。その中には手筋やチャンキングに値するものがあるからです。また、新しく戦法を学ぶときにも役に立ちます。自分と違う戦法であってもたくさん学べるので優先度は下がりますが、気になる棋譜は積極的に並べていくといいと思います。