二つの戦略に沿った上達法で有効なものがマージナルゲイン要素を取り入れた感想戦です。
そうはいっても特別な感想戦をするわけではありません。自分より強い相手との対局し、感想戦をするということです。この場合、対局中に自分が見えない手や予想もしていない手を指されることになるので、この感覚を吸収することができます。また、感想戦で自分より質の良い勝利眼を学ぶのも大きな効果が見込めます。マージナルゲインは小さな改善点を計測し、改善していくため、強い人のアドバイスや厳しい手はこの計測したものを改善するといった役割をもっているのです。
強い人と指し、しっかりと感想戦を行うというのはエリクソン教授の言う上達の要素をすべてもっている理想形です。将棋道場などで熱心に感想戦を行う人ほど上達が早いというのはよく見られる光景なのですが、エキスパート研究の第一人者の視点にあてはめても理にかなった方法といえます。
また、強い人がたくさんいる環境では棋力向上が早い人が多いのは多くの人が経験則で理解しているかもしれません。同時に一番強い人は自分より強い人と練習する機会が少ないため、頭打ちになってしまう可能性が高いです。これらはその理由の説明になっていると思います。
上達するためには強い人に挑み何度も負かされ相手の良さを吸収するというのが近道です。
その痛みが次回へと活かされ自らを強くするのです。